ザックス=ホルンボステル分類で弦鳴楽器を分類する弦楽器について、更に細かな分類ができると思ったので考察してみました。
弦の種類による分類
これはあまり重要じゃないと思うのですが、真っ先に思いつく部分なので。
大きく、鉄(ステンレスやスチールも含む)とナイロン(一応ガットもここに含むとする)に分類できます。
鉄は硬質で大きな音が出せ、チューニングが安定しやすいのが特徴です。
対してナイロンは柔らかい音が出せるものの、かなり伸びるためチューニングが安定するまで時間がかかります。
その他、馬頭琴では馬のしっぽの毛(現代ではナイロンも使われるよう)や、三味線等では絹弦も使われます。
珍しいところだと、竹の外側を剥いで、弦として使うケースもあるようです。
演奏方法による分類
次に出てくるのはこちらではないでしょうか。
大きく、指やピック等で弾いて音を出す撥弦楽器と、弓等で擦って引く擦弦楽器があります。
ピアノなんかは弦をたたいて音を出すのですが、こちらは撥弦楽器に分類してよい気がします。
更に、「弾かない」弦もあります。具体的には、ヴィオラ・ダ・モーレや、インドのシタールやサーランギ等に付属する共鳴弦です。これらはあくまで共鳴音を得るためであって、弾きません。(効果音などを狙って敢えて弾くことはあります)
弾かない弦楽器の中で特異なものは「エオリアン・ハープ」でしょうか。
こちらは弾かない代わりに、風等で音が鳴る物です。
自然に任せて音を出すという意味では、風鈴と似たようなものかも知れませんね。
撥弦楽器の更に細かい演奏方法による分類
撥弦楽器の中には、ピックや指で弾く、ピアノのようにハンマーや、撥でたたいて音を出すものが多いです。
その中で、稀にハーモニクスを基本奏法とする楽器もあります。
ベトナムのダン・バウなどが代表でしょう。こちらは1本の弦しか持たず、音高を少しだけ変化するレバーを持ちます。
叩くときに、叩く位置によってハーモニクスで大まかな音階を作り、レバーで出したい音に合わせます。
また、演奏について
・開放弦を基本とするもの(ピアノやハープ、インドのタンプーラなど)
・弦を抑えることで音程を変えるもの(ギターなど)
にも分けられます。
擦弦楽器の更に細かい演奏方法による分類
擦弦楽器でハーモニクス(バイオリンの世界ではフラジオレット奏法と呼ばれます)は私の知る限り無いです。
演奏については、
・開放弦を基本とするもの(ボウド・プサルテリー等)
・弦を指板に押さえつけるもの(バイオリン等)
・弦を指板に押さえつけないもの(二胡や馬頭琴、インドのサーランギ等)
こちらについては、指の腹で押さえるパターンと爪を当てるパターンがあるようです。
共鳴体による分類
これはちょっと面白い話かも知れません。
まず、音を響かせる部分が主に木材でできてる楽器です。
この場合でも、どこの木材を鳴らすかが楽器によって違います。
ギターやマンドリンは、表板を主に響かせ、裏板で音を増幅させます。
そのため、表板にはブレーシングという木のバーが取り付けられ、製作家はブレーシングの配置などを工夫して音を作ったりするようです。
一方、バイオリン等の楽器は、表板と裏板が木の棒(魂柱と言います)で弦振動を裏板に伝え響かせます。
次に、音を響かせる部分に皮を使っているものがあります。
こちらは三味線や二胡等があります。バンジョーもこちらに含めてよいでしょう。
さて、ここで一つ面白い例があります。ウイグルのギジェクという楽器です。
こちらは、ボディが表板付きの球体になっており、球体の中に皮が張ってあります。
この楽器では、魂柱が皮と接続され、皮を鳴らす形になっているため、二胡等に近い音になります。
一方に、ウイグルのフシタールという楽器では、魂柱で裏板または中板に接続するケースと、魂柱で皮に接続するケースがあり、面白い造りになっています。
なお、エレキギター等はピックアップが音を拾って、アンプで音を大きくするので、共鳴体なし、になります。
(共鳴体を持つエレキギターもありますが)
その他
その他として雑多にまとめてしまいますが、複数弦をひとまとめにして扱う楽器等があります。
ピアノでは高音弦が、一つの鍵盤に対し2~3本張られますが、こちらは音を大きくする目的のようです。
他、マンドリンでは2対×4の弦を持ち、ピックでトレモロ奏法(往復させて連続して音を出す)する際の音の途切れを短くする工夫もあります。
なお、このような複弦の楽器は、対になる弦の音程を微妙にずらすことで、エレキギターのコーラスエフェクターのような効果を出すことができます。
他、演奏弦と伴奏弦が分かれているもの(ツィター等)や、常に同じ音を鳴らし続けるドローン弦を持つものもあります。
終わりに
一口に弦楽器(弦鳴楽器)と言っても、色々な弾き方、共鳴のさせ方があります。
民族楽器はなかなか出会う事は少ないかも知れませんが、楽器店や博物館等で見かけた際は、どのように音を出すのか、共鳴させるのか観察してみると面白いかも知れません。
